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グッドデザイン賞を受賞した付箋の生みの親! 夫婦クリエイティブユニット・yurulikuのささやかだけど、大きな野望

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、
想いのつまった"モノ"とそれを届ける""たちがいます。
このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーや
お店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
2010年度グッドデザイン賞を受賞した付箋「GreenMarker」をはじめ、かわいくて楽しいオリジナル文具を発信しているクリエイティブユニット「yuruliku(ユルリク)」さん。これまでの活動と文具づくりの裏側を池上幸志さんとオオネダキヌエさんに伺いました。

印刷・裁断・縫製まで。全て手づくりでスタートした文具レーベル

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おふたりはご夫婦と伺ってますが、ユルリクさんとしての活動は今年で何年目ですか。

幸志さん: 11年になります。もともとわたしはテキスタイルメーカーのデザイナーをやってまして、彼女のほうは文具メーカーのデザイナーでした。

なるほど。なぜおふたりでオリジナル文具をつくろうと…?

幸志さん: ふたりともデザイナーだし「会社じゃできない何かをつくりたいね」「まずはちょっとしたものから…」って話になって。会社勤めと並行しながら年に1回個展で作品を発表しはじめました。

一番最初の個展「ユルリクの文房具展」のDM

2005年、一番最初の個展「ユルリクの文房具展」のDM

個展からはじめたんですね。最初はどんなものを発表したんですか。

幸志さん: かばんかな。

キヌエさん: うん、これですねぇ。

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わ。ノートのかたちしてる。かわいい!

幸志さん: 最初の個展は全部ハンドメイドで…印刷から縫製まで全て自分たちでやっていました。

えっ手づくりなんですか、これ。

キヌエさん: はい。シルクスクリーンで印刷して、わたしたちで裁断して、ミシンもあるので縫製して。

ひゃーーーっ!

キヌエさん: あ、こっちのカードも全部カッターで切ってるんですよー。

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オールハンドメイドの定規型カード。

オールハンドメイドの定規型カード。


幸志さん: 今思えば気の遠くなるようなことをひたすらやってました。

キヌエさん: もう楽しくって楽しくって。採算度外視だからいくらでもつくれちゃって。フフッ。

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幸志さん: そんなかんじで個展をはじめて、2年目の展示のときツバメノートさんに展示の協力をしてもらったんです。それがきっかけで展示の2年後くらいにデザインのお仕事の話をいただいたんですよ。

ツバメノートさんの新商品開発!

幸志さん: 「今までのノートにはない、だけど大学ノートのよさはちょっと残した新商品を考えてほしい」ということでつくったのがこのシリーズです。

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個展をきっかけに、お仕事が生まれていったんですね。

キヌエさん: 最初は趣味ではじめたのに、ちょっとずつご縁ができて「全部繋がってるんだなぁ」って感じます。まわりに言ってるつもりはないんですけど、わたしたちの気になっているものが仕事としてくるパターンが多いんです。

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キヌエさん: たとえば、わたしはすごい電車好きなんですけど、たまたまJRさんのポストカードを作らせてもらえたり、ふたりとも地図が好きだよなぁと思っていたら地図のお仕事がきたり。運がいいんですよねぇ。

電車、お好きなんですか。

キヌエさん: そう…なのでこの場所をアトリエに。はじめて来てみたら「えっ、窓から(電車が)全部見える!」って感動して。(笑)

窓のすぐそばを、中央線・総武線・丸ノ内線が走っている。

窓のすぐそばを、中央線・総武線・丸ノ内線が走っている。

たしかに、電車好きにはたまらないロケーションです。

キヌエさん: わたしたち、運よすぎるね〜。

幸志さん: 浅草寺のおみくじは、ずっと凶ばっかり引いてるんですけどね。(笑)

笑顔がとってもすてきなユルリクのおふたり。

笑顔がとってもすてきなおふたり。

 

10年で一番しんどい思い出!? 世界中から注文殺到の「GreenMarker」

2010年には「GreenMarker(グリーンマーカー)」でグッドデザイン賞も受賞されてますね。

幸志さん: 2009年の夏くらいにアイデアはあったんですけど、自分たちだけでつくるにはちょっとハードルが高かったんです。

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では業者さんと一緒に制作をすすめていったんですか。

キヌエさん: そう。それがもう大変で。10年間を振り返っても一番しんどかった!(笑)

そ、そんなに。

幸志さん: それまでわりと自分たちで作ってしまうスタイルだったんですけど、業者さんを探したり権利の登録したりっていうのは、まるで初めてで。

キヌエさん: この草とともに死んでやる!くらいの気持ちでつくりましたね〜。(笑)

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でも結果、大ヒット商品になりましたね!

幸志さん: ありがたいことに。はじめホームページで発表したんですけれども、ネットの反応、とくに海外の反応が予想以上でした。

どんな国から反応が?

キヌエさん: もう世界中から!!!

幸志さん: ニューヨーカーって雑誌あるじゃないですか。

はい。

幸志さん: ニューヨーカーのコラムに載せてもらったんですよ!

えーーーーっ!

キヌエさん: 憧れの雑誌だったのでなんかもうビックリですよ。

幸志さん: そのあとも送料のほうが圧倒的に高いような、ブラジルみたいな地球の裏側から「どうにか買えないか?」って問い合わせがきたり。

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キヌエさん: たったふたりで、なんの力もコネもない状態だったのにね!(笑)

幸志さん: インターネットで世界と繋がってるって知識としてはわかってたんですけど、リアルに体感する経験っていうのはそこまでないじゃないですか。

ないですねー…。

キヌエさん: 「こんなことが起こるんだ!インターネットすごい!」って思い知らされました。

 

ハンドメイドから下町の職人さんとつくる「メイド・イン・トーキョー」へ

幸志さん: じつは9年前には今の看板商品の「赤青シリーズ」とかも作っていて。

9年前の赤青シリーズ。今はない7:3の配色モデル。

9年前の赤青シリーズ。今はない7:3の配色モデル。

9年前にすでに。

幸志さん: わりとうちは10年選手が多いんですよ。

今はどんなふうに文具をつくられているんですか。

幸志さん: 今は東京の職人さんと一緒につくっています。

職人さん。文具全体の割合でいうと、どれくらいをお願いしているんですか。

幸志さん: 7割くらいです。コスト重視でいくなら東京以外の業者さんにお願いするやり方もあるかもしれないんですけど。

それでも東京の職人さんにこだわられているのは、理由が…?

幸志さん: 「自分たちの身のまわりの範囲で、ちゃんと見えるかたちで文具をつくっていきたいなぁ」と思っているんですね。あとは住んでいるところが台東区なので、東東京に作り手さんがいるといろいろやりやすいってこともあります。

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キヌエさん: ただ下町の職人さんって分業体制なので、たとえばノートの印刷はココ!裁断はココ!みたいにおねがいするところが全部分かれてるんですね。なのでひとりの職人さんが入院してしまうと…。

ストップしちゃいますね。

キヌエさん: そうそう。「今ちょっと腰が痛くて〜」とかを理由に工程が止まっちゃうんです。(笑)職人さんの健康管理と高齢化は、わたしたちの今後の悩みではありますね。

 

ユルリクのささやかだけど、大きな野望

なるほど。では、これからやってみたいことはありますか?

幸志さん: オリジナル文具のほかに、企業さんのデザインをするときお互いのよいところをつかった相乗効果があるようなものづくりができたらなというのはあります。

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幸志さん: たとえば、あそこにある「OBAKE LIGHT(オバケライト)」は、美濃和紙を使った新しい試みってところからスタートしたんです。すでにある技術のよいところをわたしたちのアイデアと結び付けるようなデザインは、どんどんつくっていきたいです。

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幸志さん: あとは、活動を長く続けるというのがユルリクの一番の目標なんですね。

キヌエさん: 長距離ランナーみたいな感じで走り切りたいっていう。…ちっちゃい夢ですよね。

いえ! 11年続けてきたのだってなかなかできるもんじゃありません。

幸志さん: 年数で言うとそうなんですけど、いわゆる成功をしてる方って「数年でここまで達成する!」とか大きいビジョンがあるじゃないですか。(笑)

キヌエさん: うん。それに長く続けるっていうのが目標なので、まだ11年って短いんですよ。どれだけ生きられるかわからないですけれど「どこまでいけるんだ?」っていうくらい、長く長く続けたいんですね、とにかく。クオリティは絶対落とさずに長く長く続けるっていうのが、うちのささやかだけど大きな大きな野望なのかもしれないと思うんです。「もっとおっきな夢はないんですか?」みたいに言われちゃう部分でもあるのかなとは思うんですけど。

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長く続けるっていうことができてる人のほうが少ないです、すごく立派です。

幸志さん: ほら。「ビジネスを成功させて六本木のナントカタワーに移転!」みたいな記事とか見てると、いつか言ってみたいんですけどね。(笑)

キヌエさん: うん、ちょっと言ってみたいよねー。

では聞いちゃいます。憧れのビルとかエリアはありますか?

キヌエさん: そうですねぇ。…新幹線の見えるビルがいいな。(笑)

なるほど。(笑)今日は楽しいお話を、ありがとうございました!

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今回ご紹介したショップ
yuruliku(ユルリク)
池上幸志さんとオオネダキヌエさんによるクリエイティブユニット。名前の由来は「ゆるり」と「ゆっくり」から。文具レーベルとしてオリジナルプロダクトを発信中。

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