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素材をとおりこして道具までこだわったチョコレート! 世田谷の小さな工房「xocol(ショコル)」の話。

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、
想いのつまった"モノ"とそれを届ける""たちがいます。
このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーや
お店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
東京都・世田谷区にある小さなチョコレートショップ「xocol(ショコル)」さん。渋谷ヒカリエや百貨店へのイベント出店、雑誌などにも多数掲載された人気のお店です。今回は、店長・君島香奈子さんにお店のこだわりについて伺いました。

世田谷区深沢にある工房へやってきました。

世田谷区深沢にある工房へやってきました。

素材をとおりこして、道具までこだわったチョコレート

xocolさんのチョコレートはどれも見た目がユニークですね。

「原石」という名前のチョコレート。カカオ豆に砂糖がコーティングされている。

こちらは「グレナダの原石」カカオ豆に砂糖がコーティングされた本物の石のようなお菓子。

一般的なチョコレートとは、材料や製法がちょっと違うんです。うちの材料はカカオ豆と砂糖だけ。素材の味や食感を楽しんでもらえるように、いろいろな製法を取り入れて個性的な商品に仕上げています。

チョコレートは、ここ(工房)で全て作られているんですか。

はい。この裏側でカカオ豆を焙煎するところから小規模で作っています。

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小規模生産ならではのxocolのチョコレートのこだわりはなんでしょう。

先ほど申したとおり、素材の味にこだわっているのですが、他のお店と同じような製法で作っていたらふつうのチョコレートができてしまうので…ビジネス的に言うと「強みがない」といいますか。それで個性をだすためにカカオ豆を挽く道具からこだわっています。

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道具ですか。

最近「Bean to Bar(※)」のお店が流行っていると思いますが、わたしは素材選びと同時に“どう作るか”という工程を大切にしています。つまり「ものづくりは道具づくりから」と考えています。

※ カカオ豆の仕入れからチョコレートへ成型するまでの全ての製造・販売を一貫して行うスタイル

これがカカオ豆。この中にあるニブ(胚乳)の部分を使ってチョコレートが作られる。

これがカカオ豆。この中にあるニブ(胚乳)の部分を使ってチョコレートが作られる。

特注品なのでお見せできないのですが、メーカーさんと一緒につくった石臼のような機械を使って、カカオの香りを十分に残しながらニブを細かくペーストにして、他のお店にない個性ある味わいをだしています。

素材をとおりこして道具までこだわっているとは…!

道具はわたしの手であり、考えを表現してくれるもの。わざわざ買いに行きたくなるチョコレートを作るには、ここまでやらないといけなかったんです。のちほど工房で道具の一部をお見せしますね。

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もともとお店を作るために、このような試行錯誤を繰り返してきたんですか。

いえ。最初はお店を作ろうなんて思っていなかったんです!

 

実は、もともとカメラマンのアシスタントでした

自分が食べたいチョコレートを作ってみたら周りからの評判もよく、日本ではまだ広まっていなかったのですが世界的な流行もあったので。

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でも、お店を作るのって勇気いりますよね?しかもまだ国内では珍しいチョコレートの専門店。

そうですね、お金もかかりますし「これならいける」という自信も必要です。

そもそもなぜチョコレートを作ろうと思ったのでしょう? やっぱりチョコレートが大好きだったからですか。

いえ。むしろあまりチョコレートは得意でなくて。食べると肌が荒れてしまうこともあって、わたしにとって警戒しないといけない食べ物でした。

ええっ!では、一体なぜ?

2011年にフィリピンを旅行しまして、現地産のカカオ豆を使ったチョコレートドリンクをいただいたんです。それに衝撃を受けて。

店頭では「カカオ」や「」などドリンクメニューも販売している。

店頭では「アイスチョコレート」などドリンクメニューも販売している。

しかもそのチョコレートドリンク、毎日飲んでも全く肌荒れが起きなかったんです。

お店では

不思議に思いつつ、じゃあ「なぜチョコレートを食べると肌荒れするのだろう?」と考えたときに、おそらく市販のチョコレートの多くは植物性の油脂が添加されているんですね。「それが原因なのでは?」とぼんやりと予想をたてました。ならば「そういう余計な添加物を一切使わずにチョコレートを作ってみよう!」と試してみたのが全てのきっかけでした。

では、それまではどんなお仕事をされていたんですか?

フォトスタジオでカメラマンのアシスタントをしていましたね。

全く違うお仕事されていたんですね…驚きです!

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小さなチョコレート1枚に、どれくらいのカカオ豆が使われているか

工房の中を見せていただけますか?

はい、どうぞ!

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失礼しまーす。小さな実験室みたいですね。

今はあまり物を置いてない状態なんですが、冬の間は足の踏み場もないくらいダンボールと商品の山で溢れていたんですよ。

輸入したカカオ豆は、どうやって保存してるんですか?

基本的に常温で置いておけば大丈夫なんですが、虫がつきやすいので注意が必要です。

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あらためてチョコレートを作る工程をざっくりと教えていただけますか。

はい。まずはカカオ豆を選別して、オーブンで焙煎していきます。

なるほど。「焙煎」と聞くとコーヒー豆をイメージします。

コーヒー豆と同じように焙煎具合でカカオの味も違ってきます。ただコーヒーのように秒単位で味が変わる厳密な世界ではなく、カカオ豆の殺菌と水分をきちんと飛ばすことに目的があります。

水分を飛ばす必要があるんですか?

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この後のすりつぶす工程のときに、水分を含んだ状態だと団子状になってしまうんですね。しかも輸出する側は重たい方がお金になるのであまり乾燥させない傾向があるんです。ですから豆の状態をみて焙煎の度合いを変えるようにしています。

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ちなみに、焙煎したカカオ豆は、この機械を使って砕いていきます。

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アメリカって、自分たちでチョコレートやビールなどなんでも作っちゃう「DIY文化」があるのですが、この機械はアメリカ製で家庭で穀物を荒く砕くために作られたものなんです。

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砕いたものは、別室にある木製の農機具にいれます。
ハンドルをまわして風をおこし、風圧によってカカオニブと皮を分別していくんです。

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最後に石臼でカカオニブを挽いて、砂糖を入れて成型したら完成です。

たとえばこのコインのチョコレートをつくるにはどれくらいのカカオ豆が必要ですか?

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さっきの皮を吹き飛ばす作業でカカオ豆の30%くらいの量がなくなるので、実際に使える部分は70%くらいなんですね。
このコイン型のチョコレートなら、砂糖の分を引いて…だいたい2粒くらいでようやく1枚できるくらいです。

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一枚のチョコレートにけっこうな量のカカオ豆を使っているんですね。

市販の一般的なチョコレートだと、砂糖や油分が半分以上を占めているのでカカオ豆の量もこれよりもずいぶん少なくてすむんですが、xocolのチョコレートはカカオ豆の個性を味わってもらうものなので。

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なるほど、今後新しい商品なども考えているんですか?

xocolでは砂糖のツブツブした食感をあえて残し、溶かしこまない作り方をしているので砂糖の種類を変えることで味の変化を作れるんじゃないかと考えています。

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xocolさんにしかできない製法ですものね。新商品の登場が待ち遠しいです。さてお店として今後挑戦されたいことはありますか?

お店を始めて3年が経ったので、今までは”作る”という製造の工程に特に重きをおいてきましたが、今後はカカオ豆の産地やカカオ豆の発酵などについても合わせて勉強していきたいと思います。

今後の展開が楽しみです!今日はありがとうございました。

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今回ご紹介したショップ
xocol(ショコル)
世界各国のカカオ豆を自家焙煎。独自の製法でオリジナルチョコレートを製造・販売する小さな工房。

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