気になるワードは?

お菓子は小さく説明は控えめに。会話と一緒に味わう熊本のタルト専門店「tartelette」の話。

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、
想いのつまった"モノ"とそれを届ける""たちがいます。
このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーや
お店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
熊本市にある小さなタルトのお店「tartelette(タルトレット)」さん。古民家のテラスで淹れたてのコーヒーとタルトを楽しめるお店です。なぜこの場所に、タルトの専門店をオープンされたのか、店長さんへお店に込められた想いを伺いました。

 

城下町の裏通りにたたずむ小さなタルトの専門店。

熊本市上乃裏通りの古民家カフェ タルト専門店タルトレット インタビュー

熊本市内、おしゃれなお店が並ぶ上乃裏通りの一角にタルトレットさんはあります。

熊本市上乃裏通りの古民家カフェ タルト専門店タルトレット インタビュー

お店のオープン前、店主の岩下さんにお話を伺いました。

とてもすてきな外観ですね。

ありがとうございます。もともと隣にある洋服店「ドラゴブロカンテ」さんに僕が通っていてお店をつくるとなったとき「このテラスを使っていいよ」と声をかけていただいて、この場所でお店を開くことになったんです。

趣ある建物は100年以上前に建てられた旅館を改装したものなんだとか。

右にある建物が「ドラゴブロカンテ」。趣ある建物は100年以上前に建てられた旅館を改装したもの。

最初から熊本市内でお店を開こうと決めていたんですか?

はい。僕の生まれは熊本の山鹿市ですが、昔からいつか熊本でお店を開きたいなぁという想いがありました。高校を卒業して5年くらい東京でバーや飲食店で働いて、23歳くらいに熊本へ帰ってきてしばらくカフェで働きました。そのあとこのお店を開いて、今年で5年目になります。

では長く熊本でお仕事されていらっしゃるのですね。震災のときは、どうされていましたか。

お店自体に大きなダメージはなかったのですが、やっぱりキッチンはぐちゃぐちゃになりました。

しばらくお店を休まれたりしたんですか?

地震の直後は水も安定してこなかったので2日くらいお店を閉じていましたが、すぐに営業を再開しました。そのとき近所のお店はまだ営業しているところは少なかったですけど、ちょっとでもふつうに早く日常に戻りたいという想いで再開したんです。

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そうだったのですね。今はだいぶ街も元気になってきているようで、わたしたちもうれしいです。

…あ、せっかくなので、カヌレでもかじりながらお話しましょう。コーヒーを淹れますね。

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わ!ありがとうございます。

淹れたてのコーヒーとカヌレが登場...!

淹れたてのコーヒーとカヌレが登場!

 

たくさん詰まったこだわりを、大々的に語らない。

もっちもち! 甘さ控えめでふつうのカヌレよりもちょっぴり小さいですね。

そうなんです。タルトもそうですけど、あえて小さくつくっています。

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あえて小さく?

はい。今の世の中ってなんでもたくさん消費させようとするじゃないですか。でも日常的に食べるならちょっとでいいですもんね、お菓子って。

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たしかにこのくらいで十分です。でも、岩下さんはどうしてお菓子のお店ではなくタルトのお店をはじめたんですか。

ひとりで運営できて毎日食べるのにちょうどいい料理を出すお店をやりたいな」と思ったとき、タルトを思いついたんです。カヌレもそうですけど、お店の名前「タルトレット」というのも「一人分の小さなタルト」という意味で、基本的には小さいサイズのお菓子をつくっています。

熊本市上乃裏通りの古民家カフェ タルト専門店タルトレット インタビュー

「お菓子屋さんをやろう!」というはじまりではなかったんですね。 タルトはいつも何種類くらい並べているんですか?

常に2〜4種類ならべています。何度来ても飽きないように季節にあわせてメニューは常に変えています。

熊本市上乃裏通りの古民家カフェ タルト専門店タルトレット インタビュー

今の季節だと、どんなメニューがありますか?

素材でいうとかぼちゃやさつまいも、バナナなどを使ったものですね。秋冬は特にキャラメルやチョコレートを使ったこっくりしたものが多いです。最近好評だったものだと「柿と抹茶」なんて組み合わせもあります。

珍しい組み合わせですね!レシピは全て岩下さんが考えているんですか。

そうですね、なんとなく思いつくんです。自然と思いつくものは、やっぱりいいものができます。無理やりつくろうとすると…あんまり上手にいきませんね。(笑)

かわいい器もすべて岩下さんが買い付けたもの。

バナナとキャラメルのタルト / フロランタンのタルト / カボチャとチーズのタルト / 里芋とチーズのキッシュを試食。

なるほど。あれ…? このショーケースには商品名のラベルや説明など貼っていないですね。

はい。お客さんと絶対に会話するようにしたいのであえて貼っていないんです。「これは何ですか?」とか「どんな味ですか?」そんなやりとりができたらいいなと思って。

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対話を重ねるとどんどんタルトのこと知りたくなるし、そのぶん感じる味も変わっていきそうですね。

そうなんです。口にするものに対して余計な先入観を持ってもらいたくないですし、僕が食べる人にどう思わせたいというのはありません。「○○県産の×××を使いました」のような説明は余計なお世話で、おいしければそれでいいと僕は思っています。

ネットショップの商品説明も、とてもシンプル。

ネットショップの商品説明も、とてもシンプル。

おいしければそれでいい。

はい。なんでしょう、今は先入観の多い世の中だなぁと思うんです。いろんなところで無農薬・オーガニックを謳っているけど、本当にそれだけが正しいのか?という疑問があります。

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農家の方とお話したとき「決められた時期に決められた農薬を使うことは何も悪いことではない」とおっしゃっていて、確かにそうだよなぁと。「無農薬じゃないとよくない!」っていう風潮のほうが、ちょっと気持ち悪いなって感じたんです。

りんごが6個も入ったできたてのタルトタタン。

りんごが6個も入ったタルトタタン。

たしかに。情報にふりまわされて、わたしたち消費者も過敏になっているきがします。

そう、今は情報が多すぎますよね。もちろんおいしいものをつくりたいから素材にもこだわりがたくさんあるし、僕はけっこうおしゃべりなのでそれを全部伝えたい気持ちもあるんです。だからといってお客さんに情報を押し付けてしまうのは違うなぁと。 興味を持ってくれた人にきちんと説明はするけど、感じ方・捉え方はその人にゆだねています。

熊本市上乃裏通りの古民家カフェ タルト専門店タルトレット インタビュー

 

常に新鮮な空気の流れる、つながりの広がるコミュニティへ。

お店には、どんなお客さんがいらっしゃいますか?

女性のお客さんが7割で、近所の方や観光でこられている方、隣の洋服店から来てくださるお客さんも多いです。
あとはクラフトビールもちょっと置いているので、会社帰りの方なんかもふらりと寄ってくれます。

熊本市上乃裏通りの古民家カフェ タルト専門店タルトレット インタビュー

お店がオープンしたときから、お客さんはたくさんいらっしゃったのですか?

たくさんではないですが、絶えずに来てくださっています。なんでしょう、助けてくださるんですよね、まわりの人たちが。
近くの雑貨店の方が「置いてみないか?」と声をかけてくださったり、最近は近くの美容室にタルトを卸していたり。

あたたかいつながりですね…!

はい! まずはお店を続けるってことが一番だったので、そういうつながりは本当にありがたかったです。
つながりが広がっていくなかでお客さんから「通販はあるの?」と声をいただくようになり、案内する先がないのは嫌なのでネットショップもはじめたんです。

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そういった経緯でネットショップもはじめたんですね。これからやってみたいことはありますか?

あります。 来年もうひとりスタッフが増えたら、モーニングをはじめようかなと。

モーニングですか!

そう、それをはじめるためにタルトやキッシュだけでなく最近ホットドックの提供をはじめたんです。

なぜまたホットドッグなんですか。

うちのお店のロゴをデザインしてくれた方が無添加ソーセージのブランディングに携わっていて、そのご縁でソーセージをつくるところに僕も関わることになったんです。なのでそのソーセージを使ったホットドックをつくろうということになって…本当にご縁ですね。

日の光がふりそそぐカウンターで食べるホットドッグ、まちがいなくおいしいはず。

日の光がふりそそぐカウンターで食べるホットドッグ、まちがいなくおいしいはず。

もう少し長い目でみたやりたいことでいうと、タルトレットを地域の人たちが集まるコミュニティにしていきたいです。ほかのお店とクロスオーバーしたり、ワークショップをひらきながら。空気が常に入れ替わっているような、いつも新鮮な感じのお店にできたらと。

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次に熊本へ訪れるときには、また違ったタルトレットさんに出会えそうで楽しみです。今日はありがとうございました!

今回ご紹介したショップ
tartelette(タルトレット)
地元・熊本産の小麦粉をはじめ季節の果物や野菜など身近で信頼できる材料を使った、季節や日常にそっと寄り添うタルトのお店。

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